第5回社会保障審議会年金部会を傍聴しました

第5回社会保障審議会年金部会を傍聴しました。

今回の議題は「雇用の変容と年金(主として高齢期の就労と年金に関して)」です。前2回は、マクロ経済スライド、適用拡大というテーマで、それぞれ、2014年財政検証のオプション試算ⅠとⅡに関連しており、その流れで今回はⅢに関するものです。

以下に、議論の内容をまとめてみましたが、議論されたことのすべてを網羅していないことと、委員の方の発言を聞き間違っているかもしれないので、詳細は下のリンクのサイトにある資料と、後で公表される議事録でご確認ください。

厚労省のホームページ:社会保障審議会年金部会

1.何歳からが高齢者なのか?

下の図表は、資料の6ページのデータです。将来の推計値ですが、90歳まで長生きすることが普通になるということです。リンダグラットンさんの著書ライフシフトでは、「現在20歳である人の半数が100歳まで生きる」とあり、ここから人生100年時代という流行語が生まれ、私もFPとしてよく引用します。しかし、このデータを見る限りは、90歳から100歳に到達するまでには、まだ壁があるように見えますが、少なくとも90歳まで生きていることが普通になるとは驚きですね。

次は、資料の17ページのデータです。65歳以上の人の体力テストの推移です。体力テストの点数が、いずれの年齢階層でも上昇しており、その結果、1998年時点と比べて、5歳は若返っていると言えます(赤い丸同士、青い丸同士を比べてみて下さい)。

これらのデータに加えて、日本老年学会、日本老年医学会でも、現在は65歳以上といている高齢者の定義を75歳以上と変更することを提言していることから、年金部会でも、75歳以上を高齢者として議論をしていってはどうか、という提案がありました。

2.高齢期における労働の意義

下は資料の19ページのデータです。60歳以上で仕事をしている人の約8割が、65歳を超えても就労したいという意欲を持っている、ということです。

このような就労に対する意欲の高まりは、「社会保障制度のため」というような理由ではなく、「健康にいいから」、「生きがい、社会参加のため」という理由が多いというデータも示されていました(資料22ページ)。

一方、経済界を代表する委員の方からは、体力には個人差がある、親の介護の負担等もあるので、多様性を考慮した慎重な議論が必要という意見も出ていました。これは、現在65歳までの雇用が義務付けられているものが、70歳とかに延ばされることにより、企業の負担が増えることを警戒しての発言のように聞こえました。

また、高齢者の雇用が義務付けられることによって、若者にしわ寄せがいくのではないかという意見もありました。

これに対して、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が急減していく中で、高齢者の労働参加は不可欠であり(資料24ページ)、若者にしわ寄せがいくことはないという意見がありました。

3.年金制度の方向性

1,2で論じられた高齢者の就労の状況を踏まえて、年金制度はどうあるべきかという点では、以下のような意見が出ていました。

  • 受給開始年齢の拡大(70歳以降の繰下げ)の議論や情報の発信については、誤解を招かぬように注意が必要である。
  • 60歳から65への支給開始年齢の引上げによって、60歳以降の就労が増加したという解説をメディアで見かけるが、これは間違いである。60歳以降の就労の増加は、2006年の雇用確保措置の義務化によるもの。また、「支給開始年齢の引上げ」という用語が前々回の年金部会の資料で使われていたため、それを曲解したメディアがネガティブな情報を発信している。
  • 65歳以降の年金額が、給与収入の額によって減額される制度(高在老)の廃止の議論は慎重に行うべき。65歳以降で、年金を減額される対象者は、事業主等の高収入の人で、数は多くない。廃止すれば給付が増えるので、財政への影響も気になる。
  • 国民年金の被保険者期間の上限を40年から45年に延ばすことは一案であるが、国庫負担の増加という問題もある。そこで、延長した5年分は国庫負担なしとして試算してみたらどうか。
  • 長く働こうという意欲を年金制度が邪魔をしないようにしなければならない(繰下げた場合の高在老、加給年金の問題)
  • 基礎年金と厚生年金は別々に繰下げできるが、より柔軟に繰下げをできるようにならなか。例えば、2分の1、4分の1だけ繰り下げるとか。
  • 私的年金等の自助努力も必要だが、NISAやイデコを検討する際には、併せて公的年金の重要性も説明する必要がある。
  • これからは、ライフプランが各自多様なマルチステージになっていくと予測されているが(資料29ページ)、日本の国民皆年金制度は、どのような働き方をしても必ず年金がついてくる、世界に誇るべき素晴らしい制度である。

個人的には、この前ブログでも書いた通り、在職老齢年金の見直しの行方が気になります(ブログのリンク:在職老齢年金の見直しについて「現役社長が年金をもらえる方法」について考える)。

今後も年金部会の議論の行方に注目していきたいと思います。

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