GPIFのESG投資

今回はESG投資について調べたことをお知らせします。

このブログでも、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮している企業の株式に投資する、ESG投資を始めたということをお知らせしましたが、具体的な内容について見てみたいと思います。

3種類のESGインデックスに投資

GPIFでは、下記の3つのESGインデックスに連動する運用を行っています。

  • FTSE Blossom Japan Index
  • MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数
  • MSCI 日本株女性活躍指数(愛称は WIN)

これらの指数は、FTSE、MSCIといった金融サービス業者がそれぞれのESG基準によって選定した銘柄で構成されているものです。簡単な特徴は以下の通りです。

インデックス名称 構成銘柄数 インデックスに含まれる問題企業 ETF 日経平均に採用されている銘柄数
FTSE Blossom 151銘柄 日産 証券コード 1654  107銘柄
MSCI ジャパン ESG 251銘柄

日産、電通、神戸製鋼

証券コード 1653  119銘柄
MSCI WIN 212銘柄  ーーー 証券コード 1652  102銘柄

 

  • 最近メディアを賑わせている問題企業が含まれているケースもありますが、これはESGの評価が主に公開情報に基づいていることによる限界でしょうか。構成銘柄は、年2回見直しがされるようなので、今後に注目したいと思います。
  • これらのインデックスは、ETFとして取引ができるので、GPIFと同様のESG投資をやってみたい方は、それぞれのETFを購入するとよいでしょう。ただ、現時点で流動性はそれほど高くないようなので、注意が必要です。
  • 各インデックスを構成する銘柄の約半分~3分の2は、日経平均の採用銘柄です。したがって、これらインデックスのリターンが、市場平均を大幅に上回る(あるいは、逆に下回る)ことは無さそうです。
  • 3つのインデックスのいずれにも採用されている銘柄は66銘柄あります。66銘柄のリストはこちらのリンクです

FTSEとMSCIのESG格付(スコア)の違い

FTSE Blossom Japan Indexと、MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数は、ESGの三要素の総合的評価に基づいて銘柄を選定しています。では、2社の評価の違いはどのようになっているのでしょうか。

  • まずはFTSEの方ですが、ESGの評価をスコアという数値で表しています。151の構成銘柄の中で、ESGスコアの最高値は4.5で最低値は2.1です。以下のリストはESGスコアが4.0以上の上位13社です。
    証券コード 銘柄名 ESGスコア
    4452  花王 4.5
    6702  富士通 4.4
    4902  コニカミノルタ 4.3
    7936  アシックス 4.2
    6869  シスメックス 4.2
    1605  国際石油開発帝石 4.2
    8766  東京海上ホールディングス 4.1
    8795  T&Dホールディングス 4.1
    8601  大和証券グループ本社 4.0
    8604  野村ホールディングス 4.0
    9433  KDDI 4.0
    9613  NTTデータ 4.0
    6268  ナブテスコ 4.0
  • MSCIの方は、ESGの評価をESG格付という形で表しています。信用格付けと同じようにAAA、AA、A、BBB、BB・・・・という風に序列をつけています。251の構成銘柄のうち、最上位のAAAを付与されている銘柄は10社で、以下のとおりです。
    証券コード 銘柄名 ESG格付
    1605 国際石油開発帝石 AAA
    4005 住友化 AAA
    4062 イビデン AAA
    4204 積水化 AAA
    6367 ダイキン AAA
    6645 オムロン AAA
    6902 デンソー AAA
    9433 KDDI AAA
    9437 NTTドコモ AAA
    9532 大ガス AAA

  • 上のESG評価が上位である銘柄のリストで、FTSEとMSCIの2社に共通な銘柄は、国際石油開発帝石とKDDIだけです。右のグラフは、2社の評価の相関を表したもので、縦軸がFTSEのESG格付で、横軸がMSCIのESGスコアです。グラフをみると、両者の相関はあまり強くないことがわかります。
  • つまり、ESGの評価方法や基準は、まだ明確に定まったものはなく、試行錯誤の段階であるということではないでしょうか。公開情報だけで、企業活動の隅々まで把握して、それをESGの評価に反映させるのは、なかなか難しいものだと思いますが、形式的な評価にとどまらず、実態を見ることの重要性を忘れないで欲しいと思います。一方、企業側の方もESGインデックスに選定されたことに安堵せず、企業活動の隅々にまで目配りする努力を怠らず、継続していく必要があるでしょう。

 

 

 

 

 

 

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