ふるさと納税再考

先日このブログで、ふるさと納税の現状について問題点を指摘しました。

関連ブログ:返礼品3割ならいいのか?~ふるさと納税の抜本的見直しとは

その後、最近のニュースを見たり、ネット媒体での意見交換を通じて、新たな気付きを得ることができました。そこで、改めてふるさと納税のあり方について考えを述べてみたいと思います。

1.すき焼き給食に喜ぶ子供たちの姿を見て

NHKのニュースで、ふるさと納税で集まった寄付で、子どもたちに地元で生産されている高級牛肉を使ったすき焼き給食を提供した、佐賀県上峰町のことが報道されていました。

NHKニュースのリンク:給食にA5ランクの佐賀牛すき焼き ふるさと納税で

地元産とは言っても、高級牛肉となると食べる機会もそうそう無いのでしょうか。子どもたちが、嬉しそうにおいしい給食を楽しむ姿を見て、私は、ほっこりとした気持ちになりました。

上峰町に寄付をしていない私がそういう気持ちになったのですから、寄付をした人たちがこれを見たら、「寄付をしてよかった」と、より幸せな気持ちになるのではないかと思います。

このように、最初は返礼品目当てで寄付をしたけれど、寄付が人の役に立つことによって、寄付をした自分も幸せを感じることができる、ということに気付く方も多いのではないでしょうか。

その点においては、ふるさと納税の意義が認められると思いますが、今の制度のままだと、寄付をした人が住んでいる自治体の税収が落ち込んでしまうという問題があります。

2.ふるさと納税における寄付控除の特例とは

ふるさと納税は、「2千円の自己負担で、自分の好きな自治体に寄付をすることができる(そして、いろいろな返礼品をもらうことができる)」という形で、理解されている方も多いと思いますが、その仕組みをもう一度確認したいと思います。

下の図は、ふるさと納税による税金控除の仕組みを表したものです。図の①~③で表されている控除額の合計が、ふるさと納税で寄付をした場合の控除額になります。ここで、①と②は、ふるさと納税に限らず、一般的な寄付をした場合の控除ですが、③は、ふるさと納税に限って適用されている特例部分になります。ただし、③については上限額が定められており、住民税所得割額の20%までとなっています。したがって、③の上限額を超えて寄付をすると、自己負担は2千円を超えてしまうことになります。

年収500万円の単身者を例にすると、自己負担2千円の範囲でできるふるさと納税の限度額の目安は、6.1万円程度(いろんな条件で金額は上下します)とされていますが、この場合の控除額(5.9万円)の内訳は、①と②がそれぞれ0.6万円、③が4.7万円程になります。つまり、控除額の大部分は特例分によるもので、これが寄付をした人が居住する自治体の税収が減少する理由となっているのです。

3.ふるさと納税の特例は必要か?

現在、ふるさと納税制度では、返礼品目当ての寄付行為になっていて、返礼品をめぐる競争が激しくなっており、返礼品の額の目安として定められている「寄付額の3割」が守られていないことを、政府は問題視しているようです。

しかし、問題は、寄付控除の特例を設けていることではないかと思います。世の中で、お金を必要としている人や団体は、地方自治体以外にもたくさん存在するわけで、地方自治体に対する寄付だけが税金控除の特例対象となるのは、フェアでない感じがします。

それならば、控除の特例を廃止したらどうなるでしょう。通常の寄付控除(上図の①と②)の計算式は以下の通りです。

これに従うと、5万円を寄付した場合に控除される額は、所得税率によって以下のようになります。

①所得税の控除 ②住民税の控除 ①+②
所得税率10% 0.48万円 0.48万円 0.96万円
所得税率20% 0.96万円 0.48万円 1.44万円
所得税率30% 1.44万円 0.48万円 1.92万円
所得税率40% 1.92万円 0.48万円 2.4万円

 

所得税の控除については、認定NPO法人や公益社団法人等に寄付をした場合には、上の①の計算式による所得控除の代わりに、下の式による税額控除を選択することもできます(控除額には所得等による上限あり)。

所得税の寄付控除(税額控除)=(寄付の額ー2千円)×40%

これをふるさと納税にも適用すると、所得税率に関わらず2.4万円の控除を受けることができます。そうすると、所得控除と税額控除のいずれの方式でも、返礼品が寄付額の5割程度までなら、寄付によって経済的利益を得ようという寄付本来の意義に反するモチベーションは抑制され、また、控除の特例を廃止することによって、寄付をした人が居住する自治体の税収の減少にも歯止めがかかるでしょう。

それとも、返礼品の額が6割、7割と上がっていくことになるのでしょうか…..いや、そんなことをしなくても、上峰町の子どもたちの姿を見た人は、返礼品による経済的な利益がなくても、寄付を続けたいと思うのではないでしょうか。

4.寄付を集めたい自治体は情報発信を

返礼品の過剰な競争に批判が集まる、ふるさと納税制度ですが、何はともあれ、地方自治体にお金が回り、それが地域振興に役立てるきっかけとなったことは良いのではないかと思います。

そして、ふるさと納税によって地方が活性化され、地域の住民の皆さんが明るくなっていく様子を、自治体はもっと情報発信していくべきではないでしょうか。冒頭で紹介した上峰町のすき焼き給食は、NHKが報道したものですが、この映像のような情報発信が、自治体の側からもっと活発に行われるべきではないかと思います。

ふるさと納税のサイトでも、返礼品の写真を並べるだけではなく、そのような情報をもっと発信して、それを見て私たちが寄付をする自治体を決めるような流れを作ってほしいと思います(そのように変化しつつあるサイトもあるようです)。

今後は、ふるさと納税が私たちに寄付の本当の意義を教えてくれる制度となり、寄付がもっと広がりを見せるようになることを願っています。

 

 

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