在職老齢年金の見直しについて

日経紙面の経済教室のコーナーに以下のような記事が掲載されていました。

記事のリンク:高齢者雇用の現状と課題(上) 60歳代後半を「支える」側に

記事の見出しにある「60歳代後半を支える側に」や、そのための「在職老齢年金の見直し」はいいのですが、本文を読んでいくと、「支給開始年齢の引上げが正攻法」と唱えていらっしゃいます。高齢者の就業はいろんな意味で必要になってくると思いますが、それを促すための正攻法が、公的年金の支給開始年齢の引上げというご意見には疑問があります。

ところで、偶然というか、この記事が掲載された昨日(103日)は、高齢者雇用開発フォーラムというイベントがあり、そこで清家前慶應義塾長の講演を拝聴しました。テーマは「生涯現役社会の条件」でした。

その中で、生涯現役社会を実現するために必要な社会保障制度の改革として、在職老齢年金の見直しの必要性と、社会保険の適用は働き方に中立であるべき、というお話がありましたが、支給開始年齢の引上げなんて話は、これっぽっちも出てきませんでした。

ただ、記事を書かれた小塩先生と清家先生のお二人に共通していることは、在職老齢年金の見直しです。在職老齢年金(在老)とは、年金の受給権が発生してからも、働いて収入を得ている場合、収入が一定額を超えるとそれに応じて年金額が減額されるという制度です。そして、仮に年金を繰下げたとしても、繰下げによる増額の対象になるのは、在老によって減額された年金額になるのです。つまり、高収入で年金が全額支給停止になるような人の場合は、繰り下げても全く年金額は増額されないことになります。

このような在老の制度が、高齢者の働く意欲を阻害するので廃止すべし、ということですが、私は二つのポイントがあると思います。

一つは、老齢年金は、老齢のために働いて収入を得ることができなくなった人の所得を保障する保険ではないのか、ということです。したがって、高齢でも一定の収入がある人に対して支給を制限することは、制度上やむを得ないのではないかと思います。年金が減額されるから働くことをやめようとか、制限しようと考えることは、公的年金制度の趣旨が理解されていないためではないでしょうか。

二つ目は、繰り下げた場合の増額の対象は、在老によって減額されていない年金額で良いのではないかということです。しっかり働けるうちは働いて収入を得て、年金を繰り下げても、繰り下げた年金が増額されないというのは、かわいそうですし、それこそ働く意欲を阻害するものではないかと思います。

したがって、私は、年金を繰り下げないで受給する場合には在老を適用し、繰り下げた場合には在老を適用しない、というのが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。ちなみに、65歳以上では、年金(報酬比例部分)と収入の合計が月額46万円を超えないと減額の対象にはならず、そのような人はごく一部であることを付け加えておきます。

 

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