「寄付をしてみよう、と思ったら読む本」
今回は、最近読んだ本の紹介です。
本のタイトルは「寄付をしてみよう、と思ったら読む本」です。
でも、「寄付をしてみよう」と思っていなくても、是非読んで、寄付とはどういうものであるのか、ということをできるだけ多くの人に分かって欲しいと思って紹介させて頂きました。
寄付というと、赤い羽根共同募金や災害を受けた地域を助ける義援金には協力するけど、普段は自分にあまり関係のない活動で、お金持ちがするものだと思っている方も多いのではないでしょうか。
そんなことはありません。
本の帯には、「小さな一滴も寄り集まれば、大河になる。みんなを幸せにする、もうひとつの大切なお金の使い方」と書かれています。
そう、寄付というのは、お金の使い方のひとつなのです。
金融教育に尽力されている、岡本和久先生(I-Oウェルス・アドバイザーズ)も、お金の使い方として、「つかう」、「ためる」、「ふやす」、「ゆずる」の4つがあるということをおっしゃっています。この中の「ゆずる」が寄付にあたりますね。
最近は、投資による資産形成が広がりつつあり、政府も、NISAやイデコといった制度でそれを後押ししています。投資というのは、お金の使い方のうち「ふやす」にあたります。私は、「ふやす」ことと同じくらい「ゆずる」ことに対する関心が高まるといいなと思っています。
「ふやす」と「ゆずる」は、何か相反するような印象を受けるかもしれませんが、実は、投資と寄付は同じようなものなんです。この本の著者の一人である渋澤氏は、長期投資を謳うコモンズ投信の会長さんです。また、その他の運用会社の方が、寄付の活動にも関わっているケースも結構あります。
寄付をしても投資のようにリターンが無いじゃないか、という方もいるかもしれません。確かに、寄付をしても金銭的なリターンは得られませんが、世の中がより良くなるという社会的なリターンを得ることができるのです。
また、寄付をすることによって生み出される幸福ホルモンによって、持続的な幸福感が得られるという研究もあるそうです。
FP協会が定めている倫理原則の第1原則は、「顧客第一」です。
「顧客第一」 顧客の利益を最優先させなければならない。
この本を読んで考えてみると、「利益」というのは金銭的なものだけではないということと、「顧客」というのは目の前に座っている相談者だけではなく、世の中のすべての生活者を意味するのではないかと感じました。
昨今は老後の生活に不安を感じると言って、お金を必要以上にため込んでる人が多いのではないでしょうか。そんな人たちに、世の中にお金を回すことの意義を伝えることも、FPとして大事な役割ではないかと感じました。
寄付なんて自分には関係ないと思っている皆さんに、是非この本を読んで欲しいと思います。