一時払い外貨建終身保険の見える化(完結編)

一時払い外貨建終身保険3部作(笑)の最終回「完結編」です。

前回解説する予定だった、一時払い外貨建終身保険と類似の金融商品の比較をしたいと思います。

今回も、本ブログ中で使う「外貨建保険」は、一時払い外貨建終身保険のことを意味するということでご了承ください。

1.保障機能はおまけ程度

まず、外貨建保険の保障機能についておさらいしましょう。死亡保障は、以下の「基本保険金額」、「積立金額」、「解約払戻金」のうち最も大きい額でしたね。

  • 基本保険金額(一時払保険料):最初にまとめて支払う保険料のことです。米ドル建の保険であれば、通常は手持ちの円資金を米ドルに替えて支払います。
  •  積立金額:一時払保険料から費用を控除した後、契約時に定められた積立利率によって複利運用されます。積立金は、時間の経過とともに増加していきます。
  •  解約払戻金額:積立金に市場金利調整を適用して計算されます。解約時の市場金利が契約時より高ければ積立金を下回り、解約時の市場金利が契約時より低ければ積立金を上回ります。

したがって、死亡保険金額は以下のようになるでしょう。

  • 契約後2年程は、基本保険金額が一番大きく死亡保険額となる可能性が高い。なぜなら、積立金額と解約払戻額は手数料7%を差し引かれた額から始まるから。
  • 3年目以降になると、積立金額が積立利率による複利運用の効果によって、手数料分を取り戻して基本保険金額を超えてくる。
  • あるいは、積立金額に市場金利調整を適用する解約払戻金が、積立利率が契約当時より低下している場合は、積立金を超える可能性がある。

これら3つをまとめて平たく言うと、死亡保険金額は自分の払った保険料に運用による利益を上乗せしたもの、ということでしょうか。

そうすると、パンフレットには「一生涯の死亡保障」と大きく書かれていて、何か安心感を与えてくれる感じがしますが、ただ単に自分が払ったものに利息がついて返ってくるだけ(と言ったら失礼かもしれませんが…)なんですよね。

このように、一時払いの外貨建保険は、平準払いのものと比較して、死亡保障の意味合いが違うので注意が必要です。その証拠に、一時払いの外貨建保険は15歳~75歳の誰が被保険者になっても、保険料や給付額に違いはありませんよね。

 

2.類似の金融商品との比較

さて、一時払いの外貨建保険の特性を確認したところで、これと類似の金融商品は何であるか考えてみましょう。上で説明した通り、外貨建保険というのは、支払ったお金が将来解約した時や死亡した時に利息がついて返ってくるというものです。これと似ている金融商品って何でしょうか?

そう、外貨建保険と類似の金融商品は、外貨建債券です。満期が10年の債券を買って、満期を迎える10年ごとに買い替えることによって、外貨建保険と同じような経済的効果が得られるのです。

下の表は、某ネット証券の米ドル建債券の一覧です。この中で、満期が10年に近いものを選ぶと、赤枠で囲んだ債券が候補になります。

候補の債券と外貨建保険の利回りの比較をすると、下の表のようになります。いくつかポイントをまとめると以下の通りになります。

  • 利回りを比較すると、外貨建保険と米国債がほぼ同水準だが、信用力の点では民間企業の保険よりも米国債の方が高い。
  • 民間企業である三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の発行する債券は、外貨建保険よりも1%ほど利回りが高い。
  • 税金面では、解約払戻金に対する一時所得の控除や死亡保険金の非課税枠のある保険の方が有利になるケースが多い。但し、他の所得や税率によって変わることも。

 

3.金融商品の手数料にも目を向けよう

上の3つの比較で見ると、資産運用という観点では、保険と同程度の信用力で利回りの高いMUFGの債券が候補になるかと思いますが、この債券は利付債といって半年ごとに利息が支払われ、その利払い毎に課税されてしまうので、運用効率はよくありません。できれば、米国債のストリップス債のような割引債として発行してもらえると良いと思います…..

でも、メガバンクが満期10年の外貨建割引債を発行すると、ガチで一時払い保険と競合してしまうので、難しいでしょうか。いや、そういわずにもっと競争して欲しいものです。

最後に、手数料等の開示についてですが、今回例として取り上げた外貨建保険に関しては、契約者が負担する費用についてはしっかり説明されていると思います。あとは、代理店に支払われる手数料についても商品説明書の中に記載して欲しいところです。

一方、金融商品の債券の方ですが、販売しているネット証券のホームページでは、為替手数料についての説明しか見当たりません。しかし、もし、例に挙げた外貨建債券を購入した瞬間に売却した場合は、5%程低い価格で売却することになるのです。つまり、債券の価格にも為替手数料のようなスプレッドが適用されているのですが、それが明示されていません。このネット証券では、債券を購入すれば、購入した債券の売却価格が提示される仕組みになっているようですが、購入前でも購入価格と売却価格のスプレッドについては表示して欲しいところです。

また、一時払い外貨建保険の直接的な比較対象にはなりませんが、外貨で運用する商品だと外貨建MMFというものがあります。これは、ご存知の方も多いと思いますが、短期の債券で運用する投資信託のようなものです。投資信託と言えば、昨今は運用管理費用(信託報酬)や販売手数料といった顧客が負担する費用については、顧客サイドからの要求と金融機関同士の競争によって、かなり低くなってきています。ところが、外貨建MMFについては運用管理費用が0.7%~0.9%と、何故か高止まりしています。ここら辺は、もっと見直しの余地があるのではないでしょうか。

顧客本位の業務運営の対象は、投資信託だけではないはずです。金融機関は、投資信託以外の金融商品についても、手数料などの情報の開示をもっと進めて欲しいと思います。

以上、前編、後編、完結編と、3回にわたって一時払い外貨建終身保険について説明させて頂きました。

このブログが皆さんのお役に立てば幸いです。ご意見、ご質問などがありましたら、こちらのお問合せページからお願いいたします。

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