マネーフォワード資産形成セミナー参加報告

8月25日に開催されたマネーフォワード主催の資産形成セミナーに行ってきました。

資産形成に関心のある一般生活者の方に対してどのような情報が提供されるのか、FPとして知っておきたいというところです。

セミナーは10時から17時40分まで丸一日かけて、FPや協賛企業による講演や、協賛企業のブースで相談をしたりするものでした。以下に、私が聞いた講演についての感想を述べさせてもらいますね。

1.iDeCoとNISAを使いこなす!年代別ポートフォリオの組み方

最初の講演は、遅れてしまい、聞き逃してしまいました。井戸先生、すみません。

2.あなたの年金大丈夫?~iDeCo×負けにくい運用でつくる、ミライのおかね。

協賛企業による投資信託の紹介です。紹介された投資信託は、「三菱UFJDCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)」というバランス型の投信で、iDeCoによる資産形成の土台として勧められていました。バランス型投信とは、国内外の株式、債券、あるいはREITに資産を配分するもので、株式中心の投信よりはリスクが抑えられると言われていますが注意が必要です。

リスクを抑えて運用したい場合、例えば投資金額が10万円であれば、10万円を全額バランス型投信で運用する代わりに、株式投信と現預金で5万円ずつ運用することによってもリスクは抑えることができます。詳しくは、以下のブログを読んでください。

低リスクを好む人にお勧めのファンドは?

また、この投信の「ウリ」として紹介されていたのが、市場環境に応じて機動的に資産配分を調整するというところです。予め決めた指標の動きを組合わせて、コンピューターで最適な配分を算出するということで、何かすごく進んだ運用手法に見えますが、個人的には懐疑的です。これは、要するに市場の動きを予測するようなものですが、例えコンピューターであろうと難しいものなのです。

そして、私がこのような手法に対して懐疑的と言うもう一つの理由は、投資していた株式から、市場が不安定になったからといって、資金を引き揚げるってことはどういうこと?って思うからです。株式を買うということは、企業に事業のための資金を提供するということです。それを、市場が不安定で株価が下がりそうだという理由で資金を引き揚げるなんて、自分勝手ではないでしょうか。

3.コストよりも大切な、iDeCo加入時と運用商品選びのポイント

このセッションは、協賛企業のさわかみ投信によるファンドの紹介でした。さわかみ投信は、20年ほど前に創業した運用会社で、当時はそれほど注目を浴びなかった、長期投資という今では当たり前になっていることを愚直に広めてきた運用会社です。最近は、ひふみ投信など後発の長期投資を謳う投信の方に注目が集まっていますが、私は長期投資のパイオニアとしてのさわかみ投信に敬意を表して、今でも私のポートフォリオでは一番保有比率が高くなっています。

で、さわかみ投信の投資哲学を少しでも多くの参加者に理解しててほしかったのですが、講演の内容は、正直言って今一つでした。iDeCoの制度やインデックスとアクティブの違いについての説明が主で、さわかみ投信の投資哲学というのは、なかなか伝わらなかったのではないでしょうか。限られた時間で、初心者も多いので難しかったかもしれませんが、例えばさわかみ投信の社長さんが、別のセミナーで話していた「コーヒーショップ」の例えを用いて株式の本質を説明する、なんてのは良かったのではないでしょうか?

4.資産形成のための失敗しない投資信託の選び方

著名なファイナンシャル・ジャーナリストの竹川さんによる講演でした。

投資信託の選び方について、インデクス型とアクティブ型の違い、複数の資産クラスのインデックスを組合わせたバランス型の特徴などについて解説がありました。この中で、長期で運用する場合には、株式を中心としてポートフォリオを組んで、リスクの大きさは株式投信と現預金の配分で調整すれば良いのではないかというお話がありました。竹川さんも、バランス型ファンドについては積極的にお勧めするような感じではないな、と思いました。

あと、アクティブ型を検討する際の指標として用いられる、アクティブシェアについてのお話がありました。アクティブシェアについては、このブログでも取り上げたことがあるので、ご興味があればご笑覧下さい。

アクティブシェアとは

5.なぜ株式を保有すべきか?~スパークス「厳選投資」の魅力~

協賛企業のスパークス・アセット・マネジメントによる当社の投資に関する哲学と、投資先企業に関するお話でした。「いい経営者、いい企業に長期で投資をして、大きなリターンを得る」ことが株式投資の醍醐味であり、当社の社長さんがウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏から得た投資のヒントについて紹介したり、投資先である森永製菓に関して何故投資先に選んだのか、というお話はとても興味深かったです。

スパークスさんは、ホームページで投資哲学などに関する情報発信をしているので、ご興味があれば下のリンクでご覧ください。

バフェット・クラブの金言

なぜ株式市場は存在するのか?

6.都市型中古マンションで気軽に始めるこれからのスマート不動産投資

協賛企業の、GA technologiesさんによる講演でした。

AIなどのテクノロジーを駆使して、物件情報の収集や分析を効率的に行い、不動産投資に興味のある方に情報提供を行うという会社の紹介がありました。

具体例が少なく、当社のウリが何であるかということが分かりづらかったですが、不動産業界がより効率的で透明性の高い業界になり、顧客と業者の情報の非対称性が改善されるといいなと感じました。

7.資産形成のために知っておきたい自分の為と社会のための投資とは

セミナーのトリは、鎌倉投信創業者の新井さんのお話でした。実は、ちょっと前に新井さんは鎌倉投信をお辞めになって、ソーシャル・ベンチャー(社会的企業)の支援をする会社を立ち上げるそうです。お話の最中には、「ウチのお客さん」の話も度々出てきましたが、お辞めになっても創業者としての思い入れは強いんだなぁ、と感じました。鎌倉投信さんの独特な投資哲学には、学ぶところや考えさせられることが多く、これからも、鎌倉投信と新井さんには注目していきたいと思いました。

新井さんのお話は、キーワードを挙げて、それについて新井さんの考えをお話しするような形式でした。以下に、挙げられたキーワードのいくつかを紹介します。

・半値になっても買えますか?
自分の欲しかった洋服がバーゲンで半額になれば買うであろう。一方、洋服ではなく株だったらどうか。半値になった時に怖くて買うことができないのは、その株の事を理解していないからではないか。

・ESG?
これは、ESGに限らず、いわゆるテーマ型投信に対する反論です。

・売買のタイミングはプロでも分からない
これは、市場動向によって資産配分を変えるという、セミナーの最初に紹介されていたバランス型投信に対する反論のように聞こえました。

・リスク許容度は率と額できまる。
リスク許容度が率で10%だとしても、1万円に対する1000円と100万円に対する10万円では、感じ方が違うということ。

・これからの社会に必要とされる会社は社会性と経済性を両立できる会社である

・AIは年収の高い人、人の心に寄り添わない仕事をしている人に取って代わる
ゴールドマンサックスではトレーディング業務のAI化により、トレーダーが500人から2人に削減された。トレーダーは言うまでもなく、高収入で人に寄り添わない仕事である。

・岩井克人教授(国際基督教大学)との対談
仮想通貨は決済通貨にはなり得ない。地域通貨(飛騨高山のさるぼぼコイン)には注目している。
また、岩井先生は「会社はだれのものか」という本を出されており、近くこのテーマのペーパーがICUのホームページでも公開されるとのこと。ちなみに、会社は日本では「法人」とい呼ばれており、「人」ならば誰のものでもない、というようなお話でした。

 

以上、簡単ですがセミナーに参加した感想です。

最後にセミナー全体を通じての感想ですが、各講演の内容は程よくばらけていて、資産形成に関して幅広い話が聞けたのは良かったと思います。一方、例えばバランス型投信のように、講師によってその良し悪しの考え方が異なる場合には、参加者の方は戸惑ってしまう人もいるのではないかと思い、そういう異なる意見をぶつけ合うパネルディスカッションのようなセッションがあっても良いのではないかと感じました。

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