世の中で無駄だと思うことは?
今回のブログのテーマは、ちょっとひねってみました。
その真意は最後でお話ししますが、取り上げる題材は、今日(1月21日)の日経朝刊の1面で出ていた、世論調査についてです。
記事のリンク:「70歳以上まで働く」3割に 老後に不安77% 日経調査
調査は、景気や暮らし、働き方、政治・外交など、広範にわたる内容を含んでいますが、1面で取り上げられたのは、下のグラフで表される老後の生活についてでした。
グラフが示す通り、3割の人が70歳以上まで働くという結果になっています。
記事ではこの結果について、「社会保障の負担増や給付減に備え、長く働いて収入を確保しようとする様子がうかがえる。」と解説を加えています。
これを見ると、お金のために70歳以降も働かなければならないという感じがして、あまり老後に対して明るい気持ちになれませんよね。
ちなみに、この調査対象者の年齢構成は、50歳台までの現役世代が6割、60歳台以降の世代が4割となっています。
それでは、長く働くことはつらいことなのでしょうか。働くことの意義を確認するために、いくつか別のデータを見てみたいと思います。
下のスライドは、社会保障審議会年金部会の資料で使われていたものです。現に60歳以降で働いていらっしゃる方々の就労に対する考え方は、どうなんでしょうか。2枚のスライドのポイントは、以下の通りです。
- 60歳以上で仕事をしている者の約8割が、65歳を超えても就労したいという意欲を持っている。
- 高齢者の就業理由は、60歳代前半では「生活の糧を得るため」が最も多いが、60歳台後半では「健康にいいから」「いきがい、社会参加のため」といった割合が増える。
長く働くことは、決してつらいことではないということが、現に長く働いている高齢者の実感なのです。そして、それによって収入を得て、健康維持にもつながるということであれば、上の調査結果が示す老後の2大不安である”健康”と”経済面”に対する不安もなくなるのではないでしょうか。
月曜の朝から新聞記事で憂鬱な気分になった皆さん、心配する必要はありません。長く働くということは、皆さんが想像しているほど大変なことではないのですよ。
そして、老後に備えた資産形成をしっかりやることによって、高齢期の働き方の選択肢(職業、労働時間、収入のレベルなど)も広がります。が、今回の世論調査でちょっと気になるデータがありました。
右のグラフの通り、お金の運用については、まだまだ現預金と保険が主流で、株式や株式投資信託の割合は、合わせて24%程度となっています。
その他の調査結果で面白かった部分は以下のとおりです。
この社会保障に関する質問のセンスの良さには驚きました。「高福祉・低負担」「低福祉・高負担」なんて選択肢は必要なんでしょうか???
だから、マスコミの信頼度が低いのではないでしょうか。調査の中で「日本の機関や団体をどの程度信頼できますか」という質問があったのですが、それをまとめたのが以下の表です。マスコミの嫌われ具合は、国会議員といい勝負ですね。まぁ、ある程度予測できた結果だとは思いますが、あえて調査を行った日経の勇気は買いたいと思います。
信頼できる | どちらかといえば信頼できる | どちらともいえない | どちらかといえば信頼できない | 信頼できない | 無回答 | |
国会議員 | 0 | 8 | 32 | 29 | 27 | 4 |
国家公務員 | 2 | 18 | 44 | 20 | 11 | 4 |
警察 | 6 | 38 | 34 | 12 | 7 | 4 |
裁判所 | 9 | 38 | 37 | 7 | 4 | 4 |
検察 | 6 | 33 | 43 | 8 | 5 | 5 |
教師 | 3 | 29 | 46 | 11 | 6 | 4 |
自衛隊 | 16 | 44 | 29 | 4 | 3 | 4 |
マスコミ | 1 | 10 | 43 | 22 | 20 | 4 |
もう一つ、「家計負担で重いのは?」という質問の結果が右のグラフです。グラフは上位3つしか表示していませんが、自動車に次ぐ第4位は、保険(24%)です。ちなみに、政府が力を入れている携帯料金(通信費)は15%で8番目でした。政府は、携帯以外にも値下げすべきものがあるのではないでしょうかねぇ。
はい、以上で今日の日経に出ていた世論調査の話は終わりです。
最後に、今日のブログのテーマにした「世の中で無駄だと思うことは?」の種明かしです。下の動画を見て下さい。以前放映されていたサッポロビールのCMで、俳優の妻夫木聡さんと元サッカー選手の中田英寿さんの掛け合いです。
動画の30秒あたりからですが、妻夫木さんの「世の中で無駄だと思うことは?」という問いに対して、ヒデさんは何と答えたでしょう。ヒデさんの答えは、今日のブログの本題である老後についての考え方に通じるところがある思います。
皆さんは、いかがですか?