金融審議会「市場ワーキンググループ」(第14回)を傍聴しました

10月11日に金融庁で開催された、市場ワーキンググループ(第14回)を傍聴しました。

議題は、「高齢社会における金融サービスのあり方について」です。

以下に気になったポイントをまとめましたが、議論のすべては網羅しておらず、私が委員の方の発言を聞き間違えている可能性もあるので、詳細は下のリンクにある資料と、後日公表される議事録でご確認ください。

金融庁ホームページ:市場ワーキンググループ(第14回)資料

 

1.説明資料の内容に感じた違和感

市場ワーキンググループ(WG)の前半は、金融庁が作成した資料(高齢社会における金融サービスのあり方について)と、みずほ証券チーフエコノミストの高田氏が提出した資料(超高齢社会における金融のあり方)の説明でした。

内容のポイントは、いずれも以下のような感じでした。

  • 高齢社会が進む中、高齢者が引退後の生活費を準備して、それを取崩していくために金融機関のできることは何か
  • 高齢者の認知能力、判断能力の衰えに配慮したサービスの提供

私は資料の説明を聞きながら、ちょっと違和感を感じました。それは、前日(10月10日)に開催された社会保障審議会年金部会での議論と比較してのことです。年金部会の傍聴メモは、ブログで書いていますので、よろしければご覧ください。

年金部会傍聴メモのリンク:第5回社会保障審議会年金部会を傍聴しました

年金部会の議題は、「高齢期の就労と年金に関して」ということで、市場WGと共通する部分があると思いますが、私が違和感を感じたというのは、以下の点です。

  • 年金部会では、平均寿命の延び、高齢者の若返り、就労の状況といったことに関して詳しい分析が示され、それを前提とした年金制度のあり方についての議論がされていましたが、市場WGではそのような話はあまりありませんでした。
  • 高齢期の生活を支える柱になるのは、公的年金のはずですが、これについての説明はほとんどなく、自助努力による資産形成と、それを取崩しながら老後の生活を賄うという視点が主のように感じました。年金部会で提唱されているような、公的年金を繰下げによって増やして、私的年金は繰下げしている期間のつなぎとして活用するという選択肢は、市場WGにおいては示されていませんでした。

これらの点は、後半の討議の中で指摘する委員の方もいらっしゃったので、それは後ほど紹介します。

 

2.なぜ日本の家計に投資が広がらないのか

それと、日本の家計において「貯蓄から投資へ」という流れがなかなかできない理由の一つとして、成功体験がないためという説明が高田氏よりありましたが、そもそも成功も失敗も体験していない、投資の経験がないというところが問題ではないかと思いました。

第3回市場WG(平成28年7月6日)で使われた、下のスライドをご覧ください。箇条書きの3つのポイントの3番目を見ると、そもそも投資に否定的な考えを持っている人が多いということが分かります。これは、投資と言うと、「ギャンブル」、「危ない」、「怖い」というようなイメージを持っている人が多いためではないでしょうか。

投資に対する考え方は、色々あると思いますが、私は、世の中を良くしてくれる企業に資金を提供して応援することだと考えています。そして、その企業が事業から得た利益は、投資者に経済的なリターンとして分配されるわけですが、その企業は世の中を良くするという無形のリターンをすべての人に与えている面もあるのです。このように、投資は、世の中をより良くするために自分のお金を回す社会貢献である、ということを理解してもらうことが重要ではないかと感じました。

 

3.提出資料とその説明に対する委員の方からの意見

そういう訳で、前半を終わった時点では、傍聴していてモヤモヤした感じがしていたのですが、後半の委員の皆さんによる討議においては、そこら辺を指摘されていた方もいらっしゃったので、良かったと思います。以下に、委員の方からの発言で、私の印象に残った点をまとめてみました。

  • 年金部会の委員も務めていらっしゃる駒村先生や、その他複数の委員の方から、金融(商品、サービス)だけでは長寿化に対応できない。就労、公的年金と合わせたトータルの将来像を示す必要がある、という意見がありました。やはり、高齢期の課題については、金融審議会という枠を超えた横断的な議論が必要だということでしょうか。
  • セゾン投信の中野社長は、一般生活者に必要なのは、一生涯を通じた長期運用で、投資の方法は年齢やライフスタイルには関係なく、また金額の目標を特に定める必要もなく、淡々と継続することが重要で、高齢者に必要な金融商品・サービスは、毎月分配型投信やターゲットイヤー型投信ではなく、資産の取崩しサービスであるとおっしゃっていました。取崩しサービスについては、他の委員の方からも必要であると意見が出ていました。
  • NISAやイデコに関する書籍を出版したり、講演をされている竹川さんも、高齢者向けの金融商品というものは不要で、取崩しサービスの充実をするべきという意見でした。また、公的年金制度を理解することの重要性を訴え、例えば、トンチン年金という保険商品よりも公的年金の繰下げを検討すべきということでした。併せて企業年金の見える化も必要であるとおっしゃっていました。私事ですが、先日20年前に辞めた銀行から、結構な額の企業年金が支払われるということが分かりました。ニュースで、企業年金がもらえるのに忘れている人がかなりいると報道していたので、企業年金連合会に聞いてみたのです。そんな訳で、竹川さんの意見には、うんうんと頷き、企業年金にも「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」のようなサービスがあるといいなと感じました。
  • 資産の取崩しとして、リバースモーゲージも選択肢として資料に取り上げられており、それについての意見が出ていました。私も個人的にリバースモーゲージには興味があるのですが、金利が通常のモーゲージ(住宅ローン)と比べて高すぎる点がネックかなぁと考えていましたが、その点を指摘している委員の方もいらっしゃいました。

以上、市場WGの傍聴メモでした。

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です