なぜ株式市場は存在するのか?
下のリンクは、スパークス・アセット・マネジメントで株式運用の最前線で活躍されている水田氏のレポートです。
このレポートを人づてに知って読ませて頂きました。私のような一介のFPの立場でおこがましいのですが、レポートの感想を述べさせて頂きます。
このレポートの始めで述べられている、直接金融の意義と、それに対して株式市場が果たす役割については、その通りだと思います。そして、この部分がレポートのタイトルである、「なぜ株式市場は存在するのか?」という問いに対する答えになっています。とかく、株式市場というと切った張ったの鉄火場のようなイメージを持っている人も少なくないと思われるので、そのような誤解を解いて、より多くの人に株式投資の世界に入ってもらうための解説としては、とても良いのではないでしょうか。
しかし、レポートの中盤で述べられてる、短期での売買で値ざや稼ぎをしている、いわゆる「投機家」という人たちについて、市場に流動性を供給する役割を果たしているとして、その存在意義を積極的に肯定していると感じられる部分には疑問を抱きました。
私は、投機家の存在に関しては、もっと消極的で、受け入れざるを得ないという立場です。つまり、本来は必要ないけれど、現実的に排除することはできない中で、もし何かしらの意義を見出すとすれば流動性供給の役割をになっていると言えるかな、という感じです。
私が投機家に対してよりネガティブな見方をする理由は、二つあります。
一つは、そのような投機家の存在が、株式投資に対する誤った見方を与えていること。水田氏のレポートには、投機家の正当性を説くことによってそれを払しょくしようという意図があったのでしょうか。
もう一つは、投機家が市場の流動性だけでなく、ボラティリティを高める要因になっているのではないかということです。投機家の行動によって株価が急上昇したり、急落したりすることがある為に、長期の投資家が適正な価格で売買できないケースが起こり得るのではないでしょうか。
投機家の役割を古本屋に例えて説明している部分も、私にはどうもしっくりきません。
仮に、投機家がいなくなると、長期の投資家は、投資対象として考えている株を買ったり、保有している株を売ったりするのに、時間やコストが掛かるかもしれませんが、それも上で述べたような投機家によって引き起こされる問題と比べれば、受け入れることのできるもの(あるいは、受け入れなければならないもの)ではないでしょうか。
私は、賭博やギャンブルを否定するつもりはありませんが、株式市場をその対象にすべきではないと思います。投機家の皆さんには、仮想通貨で思う存分やってもらえばいいでしょう。それが、仮想通貨市場の存在意義にもなると思います。
冒頭でも述べた通り、投機家の存在意義に関する部分を除けば、基本的に私も同じ考えです(偉そうにすみません)。水田氏のレポートが、一般の生活者の皆さんに投資とは何かということとを正しく理解してもらい、投資を始めるきっかになれば良いと思います。