毎月分配型投信の活用方法

日経電子版の記事より

問題だらけの毎月分配 百歩譲って利点は(窪田真之) : NIKKEI STYLE

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO21888570U7A001C1000000?channel=DF280120166569

最近は金融庁の指導もあって批判の的になっている毎月分配型の投資信託ですが、この記事では、その活用法について述べられています。その活用法とは、退職金などまとまったお金を持っている人が、それを運用しながら生活資金として取り崩していくようなケースです。

多くの毎月分配型投信は、元本も取り崩して分配金に充てているため基準価格は大きく下げていますが、受け取った分配金の合計額は基準価格の下げ幅を上回っているケースもあります。例として、毎月分配金の代名詞ともいえる「グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)」のデータを見てみましょう。まずは、直近の10年間の価格と分配金のデータです。

グロソブの基準価格と分配金(2007年10月~2017年9月)

基準価格変動:8,010円(2007年10月)→ 5,166円(2017年9月) -2,844円
分配金合計額:3,425円
差引運用収益:581円
所有期間利回り(単利):0.7%

前述の通り、基準価格は大きく下げていますが、分配金の合計額はそれを上回っています。0.7%という利回りはそれほど高く感じないかもしれませんが、ここ数年の超低金利の市場環境を考えれば、それほど悪くないと思います。では、グロソブの運用開始後の全期間に関して、保有期間5年、10年、15年とした場合の所有期間利回りを見てみましょう。

保有期間5年 保有期間10年 保有期間15年
平均 3.7% 2.5% 3.1%
標準偏差 3.6% 1.3% 1.3%
最高値 11.6% 5.7% 5.9%
最低値 -3.0% 0.3% 0.7%

 

ご覧の通り、保有期間が長くなれば運用成績も安定し、10年、15年では利回りがマイナスになるケースはありませんでした。グロソブは、外国国債をはじめとする高格付け債券の利子収入をメインにした運用なので、為替リスクや金利リスクの影響は受けるものの、長期保有では比較的安定した運用成績になるのではないでしょうか。

一方、もう一つ別の毎月分配型の人気銘柄「新光 US-REIT オープン(愛称 ゼウス)」ですが、同じような分析をすると、運用成績のバラツキはグロソブより大きくなり、長期保有の場合でもマイナスになるケースが出てきます。やはり、投資対象が不動産だとリスクも大きいということでしょうか。

金融庁の指導により、悪者扱いになってしまった毎月分配型ですが、商品特性をしっかり説明した上で取崩しながら運用する人には提供しても良いのではないでしょうか。それこそが、真の「顧客本位」だと思います。

 

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