奨学金の利率算定方法を確認しよう

先日、奨学金を借りて勉強している専門学校の生徒さんたちに、奨学金の返還のことや、社会に出てからのお金のことについて、お話しさせて頂く機会がありました。

その中で、多くの生徒さんが利用している日本学生支援機構(JASSO)の第二種の奨学金については、皆さん利息を付けて返還するということは理解しているようですが、その利息の額がどの位になるのかというところまでは、十分理解していないようでした。そこで、JASSOの第二種の奨学金の利息について解説します。

1.奨学金の総返済額はいくらなのか?

まずは、例として奨学金の貸与総額に対して、返還総額がどの位になるのか見てみましょう。

お話をさせて頂いた生徒さんたちが通う専門学校は3年制なので、例えば、毎月8万円借りると、3年間で総額288万円になります。そして、社会に出てからこれを16年かけて返還するわけですが、毎月15,516円返還していくと総額で約298万円になります。そうすると、差額の10万円分が利息ということになる訳です。

ところで、利息の額を計算するためには、利率を決めなくてはなりません。下の表の例では「年利0.4%」として計算しましたが、皆さんが返還する時の利率は0.4%とは限りません。したがって、利率がどの様に決まるのかを知っておく必要があります。

2.利率の算定方法

利率を決める方法は、「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2通りあります。それぞれの方式は、以下の通りです。

  • 利率固定方式:貸与終了時に決定した利率が返還完了まで適用されます。
  • 利率見直し方式:返還期間中、おおむね5年ごとに見直された利率が適用されます。
  • いずれの方式でも、利率の上限は3%です。

この2つの算定方法で決められた利率の過去の推移は、下のグラフのとおりです。グラフは、2007年4月から始まっていますが、いずれの利率も下がってきていて、現時点(2018年9月)では、固定方式が0.33%、見直し方式が0.01%となっています。

学生支援機構は、それぞれの利率をどのように決めているか公表していませんが、以下の市場金利と連動していることがグラフから分かると思います。

  • 利率固定方式=10年国債利回りと連動
  • 利率見直し方式=5年国債利回りと連動

利率見直し方式の方は、その見直しの頻度が「おおむね5年」なので、5年国債とほとんど同じように動いていました。しかし、日銀がマイナス金利政策を実施した2016年2月以降、5年国債利回りはマイナスになりましたが、奨学金の見直し方式の利率は下限の0.01%で張り付いています。

3.固定方式と見直し方式のどちらが良いのか?

それでは、皆さんは固定方式と見直し方式のどちらを選べばよいのでしょうか。

その前に、実は皆さんが奨学金を申し込んだときに、いずれかの方式を選んでいることは覚えていますか?もし、忘れていたら、確認した方が良いでしょう。

そして、申し込み時に選んだ方式は、貸与期間中であれば変更できるということを覚えておいて下さい。貸与が終了する卒業の時期が近づいてきたら、その時の利率の水準であるとか、市場金利の動向を考慮して、固定方式と見直し方式のいずれかを決めると良いでしょう。とはいっても、どちらが良いのかを決めることは難しいかもしれません。

例として、月額5万円を3年間借りた場合(貸与総額180万円)の、シミュレーションをしてみましょう。利率固定方式の利率は、現時点の0.33%より少し高めの0.4%とし、利率見直し方式の方は、最初の5年間は0.01%とし、その後はいずれ日銀がマイナス金利政策を正常化するとして、ある程度の金利の上昇を見込み、1%に上昇するケースと2%に上昇するケースの2通りを計算してみました。

  1. 利率固定方式(0.4%)で返還した場合の返還総額:185万円
  2. 利率見直し方式(最初の5年間は0.01%、残りの8年間は、1%と仮定):185万円
  3. 利率見直し方式(最初の5年間は0.01%、残りの8年間は、2%と仮定): 189万円

これだと、3つのシナリオの間でそれほど大きな違いは出ませんね。

また、上のグラフの推移を見ても、見直し方式の利率が2%まで上昇する可能性は低そうなので、見直し方式を選んだ場合は、2のシナリオの可能性の方が高そうです。そうすると、返還総額は固定方式でも見直し方式でも185万円ほどで変わらないということになります。

また、2の方が1に比べて最初の5年間の毎月の返還額が少なく済みそうですが、その差はわずか毎月300円程度です。

そういう訳で、現在の市場環境では、固定方式でも見直し方式でも、それほど返還額に大きな違いは出ないようです。しかし、市場環境が変わったり、返済額がより大きい場合には、違いが出ることもあるので、注意が必要でしょう。

また、学生支援機構のホームページで提供されている返還シミュレーションは、見直し方式で将来金利が上昇した場合のシミュレーションはできないようなので、そこら辺の改善を望みたいと思います。

(2019年4月17日追記)

最新の利率の動向とそれを踏まえた返還プランについてのブログを書きました。宜しければ、下のリンクよりご覧ください。

関連ブログ:奨学金の貸与利率の最新動向と返還プランの検討

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