「仮想」か「仮装」か?ビットコインの行方

日経電子版の記事より

「仮装」通貨ビットコインの限界:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21705110Z20C17A9000000/

ビットコインに代表される仮想通貨に関する記事です。記事の内容としては、賛否両論を載せながらも、仮想通貨が投機の対象になっていることに対する問題点を指摘しているところは、その通りだと思います

本来は、海外送金や資金決済のコストや手間を軽減する目的で開発された技術であったはずです。ところが、価格が激しく変動するビットコインは、純粋に送金や決済のために利用できる代物ではありません。記事の最後に紹介されている、三菱UFJフィナンシャルグループが検討しているMUFGコインは、交換レートは固定したものになるようです。みずほFGもJコインという仮想通貨を創設すると報道がありました。ここは日本のメガバンクに、私たちの生活に役立つ仮想通貨のインフラを提供してもらうように、頑張ってもらいましょう

さて、記事の中でいくつか気になった点があるので付記しておきます。

  • 「ビットコインは価値を裏付けるものがあるので、昔バブルで投機の対象となったチューリップとは異なる」という解説がありますが、価値を裏付けるものとは、保有しているビットコインが現在取引している価格で換算される円やドルの価値と等価であることを担保するものであって、取引されている価格が妥当かどうかを担保するものではないということだと思います。つまり、ビットコインは基本的にチューリップバブルと同じようなものではないかと思います。
  • 仮想通貨を支えるブロックチェーンという技術は、金融機関での本人確認や前のESG投資に関するブログで紹介した企業のサプライチェーンマネジメントの高度化など幅広く応用できるもののようです。ビットコインをチューリップバブルと同じと断じているJPモルガンのダイモンCEOも、ブロックチェーンの有用性は認めているとのことです。
  • ビットコインはリスク回避手段としての価値があるという意見が紹介されていますが、これはビットコインの取引所を運営する業者のセールストークではないでしょうか。金についても同じことがいえると思いますが、価格が変動するものがどうしてリスク回避手段のための安全資産と言えるのでしょうか。北朝鮮に関する地政学的リスクなどを囃すことによって生じる価格の変動から、値ざやを稼ごうとする投機家の戯言だと思います。

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