外貨での運用について考える

経済評論家の山崎元氏の記事(下のリンク)を読んでの感想と外貨運用についての考えをお話ししたいと思います。

記事のリンク:なぜ個人のポートフォリオに外国債券が不要なのか?

記事のタイトルにもなっている、外国債券がが不要で、外貨建ての資産は外国株式として保有すべしという、山崎氏の主張する点については、個人的には賛成です。しかし、外国債券のリターンの考え方については、ちょっと意見が異なります。

外国為替市場では、通貨の交換比率と金利がセットで取引されているので、高金利の通貨をロング(買い持ち)しても、低金利の通貨をロングしても、母国通貨ベースで期待される利回りは基本的にはどちらが高いとも言えない、という理解が基本である。

通貨の交換比率(為替レート)と金利がセットで取引されているというのは、外国為替のフォワード(先物)取引のことではないでしょうか。私たちが通常保有する円の資金を外貨に交換したり、逆に外貨を円に交換したりする取引は、スポット(直物)取引です。

スポット取引とは、新聞やテレビで報道されている為替レートでの取引です。為替レートの変動について、「日米金利差が拡大して円安」などという解説もよく聞きますが、スポットレートの水準を一義的に決定する理論はありません。購買力平価説という考え方がありますが、これは例えば、マクドナルドのビッグマックが米国では4ドル、日本では400円だとすると、為替レートは1ドル=100円になるはず、というものです。しかし、これも商品やサービスによって価格は異なるものなので、為替レートを一義的に決定するものではありません。

最近の日経の記事で、日米の物価の差に注目して円高を予測している記事がありました。米国の物価は過去20年間緩やかに上昇しているのに対して日本はデフレですから、日米の物価差は拡大し続けており、購買力平価説によって円高の圧力が高まってきているというものです。

リンク:「日米物価差20年で5割超拡大、たまる円高マグマ 」

しかし、見方を変えると、20年間日米のインフレ率を反映した金利の水準は、米国がずっと日本を上回っているにも関わらず、ドル円のスポットレートは、80円から120円の間で行ったり来たりしている状態です。現在のドル円の水準は、このレンジの上限に近い方なので、円高方向へ動く可能性はありそうですが、その真偽を論ずるのがこのブログの目的ではありません。

私のポイントは、米ドルに関して言えば、過去20年間(あるいはそれ以上)ドル金利は円金利を常に上回っている一方で、ドル円の為替レートは、80円~120円のレンジで推移しているという事実は、ドル建て債券に投資して円安方向に為替レートが動いたときにドルから円に換えれば、ドルの高金利を享受できるということを示しているのではないかということです。

一例として、ドルのMMFを2008年4月から2018年8月まで、毎月1万円積み立てた場合の結果を示しました。MMFは短期の債券に投資するファンドで価格変動リスクを抑えて安定的に外貨で運用するのに向いた商品です。125か月間で積立てた元本125万円に対して145万円の運用残高(税引き後)となっています。

ただ、利回りはリーマンショック後の金融緩和政策のために0.1%を割るような時期が続いていたので、期間を平均するとドルベースでの利回りは0.4%程度(それでも円金利に比べれば高いですが)で、運用収益は主に円安の効果によるものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、MMFについて調べていて気付いたことがあります。それは、MMFの運用管理費用(信託報酬)が意外と高いということです。米ドルのMMFだと運用会社によりますが、0.7~0.9%の運用管理費用が取られています。MMFは外貨運用の定番商品と言えるものなので、運用会社や販売する金融機関は運用管理費用の見直しをしてほしいものです。

MMF以外の商品で、外貨の安定運用を目指すものだと、外国債券を組み入れる投信と外貨建て終身保険あたりが候補になるでしょうか。外国債券の投信は、MMFと比べてより満期の長い債券を組み入れるものが多いので、価格変動リスクが高くなりがちです。外貨建て終身保険は、利回りは安定しており、パンフレットでみると3~4%と高い水準を維持しているものもありますが、これは表面的な利回りです。死亡保障や諸費用を差し引いた後の実質的な利回りは、1~1.5%程低くなるということに留意が必要でしょう。

しかし、上で「外貨の安定運用を目指す」と言いましたが、円を基準に価値の判断をする私たちにとっては、外貨の運用には為替リスクがつきものであり、安定運用を目指すことはできないということを強調したいと思います。それであれば、為替リスクを上回るより高いリターンが期待できる外国株式で運用する方が良いのではないか、というのが個人的な考えです。

あと、為替レートは上がったり下がったりのサイクルで変動するので、一旦円高になっても円安に戻るのを待っていれば良い、というような考えは危険です。今の為替レートが円高で半分になっても大丈夫と思えるくらいの金額に抑えておくのが良いのではないでしょうか。

以上、外貨の運用について、皆さまのお役に立てば幸いです。

 

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