介護費用に関するデータ

日経電子版の記事より

老後最大の不安 医療・介護のお金はいくらかかる? : NIKKEI STYLE https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22682460V21C17A0000000?channel=DF280120166581

この記事中の見出しに「医療・介護費用は800万円が目安」とあります。これを見ると、多くの方が大変だと感じるかもしれません。でも、紙面の都合上細かい説明を省略しているため、このような印象を与えているのではないかと思います。記事の趣旨も、文中で述べている通り「メドを知ることで、ある程度の不安は軽減できる」ということです。そこで、私の方でいくつか捕捉の説明を加え、皆さんの不安がより軽減できるようにしたいと思います。

  • 介護経験の有無

記事で引用されていた生命保険文化センターの調査は、3年に1度全国的に行われているもので、介護に関する調査では介護経験の有無という項目もあります。これによると、過去3年間に家族や親族の介護経験ありとした割合は、世帯主の年齢が55歳以上の場合、概ね2~3割になっています。つまり、介護を経験していない人の方が多いということです。

  • 介護費用~必要と考える額と実際の額

生命保険文化センターの調査の中には、「世帯主または配偶者が要介護状態になった場合に必要となる資金額」という項目があります。これと、記事中で紹介されていた実際の額を比較してみましょう。

必要と考える額・期間 実際の額・期間
初期費用 252万円 80万円
月々の費用 16.8万円 7.9万円
介護期間 14年1か月 4年11か月

 

介護にかかる費用や期間が必要と考えていたより、実際はかなり少なく、短くなっています。毎月17万円で14年だと、2800万円で、初期費用と併せると3000万円を超えます!そりゃ、不安にもなりますよね。でも、実際はその5分の1程度です。

  • 高額療養費について

記事中で高額療養費制度による自己負担額上限が月額5万7600円(所得区分が一般)で、12か月で約69万円とありますが、正確には4か月目から上限が4万4000円になる(多数該当という制度です)ので、12か月では57万円になります。また、高額療養費は医療保険の制度ですが、介護保険においても同じような制度(高額介護サービス費、高額介護予防サービス費)が設けられています。さらに、医療保険と介護保険のそれぞれの自己負担額の合計が高額になる場合に、負担を軽減するため高額介護合算療養制度というものがあります。所得区分が一般(年収156~370万円)であれば、医療保険と介護保険の自己負担分の合計額の上限は56万円になります。

  • 介護費用の準備

記事では、800万円をコツコツと資産形成によって準備しようと勧めていますが、年金を補うための生活資金に加えて、さらに介護費用を準備するのは大変かもしれません。でも、それほど心配しなくても良いのではないかと思います。なぜなら、もし自分が介護状態なった場合には、自分の年金を一部介護費用に充てればよいからです。そうすれば、800万円をまるまる現役時代から準備する必要もないでしょう。

 

いかがでしょうか。新聞記事と私の補足説明で、皆さんの介護に対する不安が少しでも和らげば幸いです。もちろん、介護で大変なのは経済的なことだけでなく、肉体的、精神的な問題も出てくるでしょう。そうすると、やはり記事の締めくくりでも述べられていた通り、日頃から健康管理に努めるということが一番大事になるでしょう

 

 

 

 

Follow me!